「新リア王」高村薫

高村薫は一体どこへ向かおうとしているのであろうか?
前作「晴子情歌」以来、全くついていけなくなってしまった高村大先生。すでに私のちびた頭では理解不能です。
上下巻の大作でもあり、そのほとんどが親子の会話のみで構成されてる。
その親子だが、息子(戸籍上では甥なのだが、実は弟妻に産ませた息子)が、これが前作「晴子情歌」では東京大学を卒業したにもかかわらず、遠洋漁業の船員をしているのだが(そんなやついねえよ)いつの間にか出家していて、その後に住み着いたボロ寺にて住職をしている。ある日、国会議員である父が、国会開会中にもかかわらず失踪して、息子を訪ねてくるのである。
父親は、当時(ちょうど田中角栄が逮捕された頃か?)の政治状況をモノローグで説明しつつ、その中で自分のおかれた政治的な状況(かなりピンチ)を、じっくりページをかけて解説してくれる。
政治的状況説明も何だかよくわからないお話しだが、ソレにもまして息子が語る仏教用語満載のお話しに至っては、全く理解不能であった。単純に勉強不足なのだが、この本を理解するためだけに、仏教を猛勉強するほど自分は熱心な読者ではない。
なんか、ワケわからないまま、延々読み続けているうちにお話しは佳境へ...てか、これが佳境なのか?
失踪中の国会議員の消息がこのボロ寺とわかり数人駆けつける親類縁者関係者。そこでこの老父はいきなり(自分のことは棚に上げて)一人一人に、まるで赤城しげるのように説教をたれ始める。いや、しかし、アカギの方が遙かに説得力があると思うのだが...
その後、突然にこの壮大なる物語は、とてつもなく救いのない形で唐突に終わる。
次作多分合田雄一郎再登場。対するはこのボロ寺の住職の息子。国会議員の孫で性格破綻者な青年に間違いない。

新リア王 上

新リア王 上

新リア王 下

新リア王 下